〜好学健癒〜雑記ブログ

医療系研究科 修士卒、累計読書冊数1500冊以上の私が、ブックレビュー、防災、ライフハック術、映画や観劇の感想などを綴るブログです。

covid-19の流行している今こそ過去から学ぼう〜「検証、東日本大震災の流言、デマ」

以前、コロナ騒ぎで明らかにデマだろうと思われる情報(26℃で新型コロナウイルスは死滅する等々)が知人から回ってきたことが読もうと思ったきっかけで、Kindle Unlimitedでこんな本を読みました。

引用
チェンメ、リツイート(RT)……災害流言という人災! 流言やデマはどのように生まれ、どのように広がるのか? 真偽を確認するにはどうすればいいのか? 「有害物質の雨が降る?」「被災地で外国人犯罪が増えている?」「あの政治家がこんな失言をした?」「関西電力の節電呼びかけチェーンメール」など、東日本大震災に際して広まった実例をもとに、そのメカニズムを解説し、ダマされない・広めない基礎知識を伝授。


ツイッターなんかをやってると、
拡散希望って書いてあるものを気軽にその情報ソースを確認しないで、リツイートしてしまいがち。
だけど、一旦立ち止まってその情報が本当に正しいのか?
そして、その情報が拡散された場合どういった影響があるのか?
を考えてから拡散する必要があるなと感じました。

特に人の命や迫害に関するところについては、自分もその情報の拡散をすることで加害者を助ける可能性があると思って一人一人が責任感を持って情報の共有を図るようにするべきだな、と…


当時のことを思い出しつつ、かなり今にも通じる部分があるなあと勉強になりました。


本の中でも、やはり短期間の伝言ゲームの中でどんどん話の内容におヒレがついていく様子がつづられてました。
海外でのデマについても乗っていて、海外では、東日本大震災の時に、ワンピースの尾田栄一郎さんや、キティちゃんのデザイナー、らんま1/2高橋留美子さんなど様々な漫画家やイラストレーターが死亡したというデマが回ってたそうです。
で、そのソースを辿ってみると、ツイッターの一般人が、「○○さんは大丈夫かな…」みたいな個人の呟きだったりしたそうです。



どんどん状況が変わりつつある新型コロナウイルスの流行。
私自身、普段はニュースをあまり熱心に見る方ではないのですが、最近はどんどん状況が変わるため、新しい情報を得ていないと不安なこともあり、毎日ニュースに張り付いています。
日経電子版、その他webニュースや、ツイッターなど。
ただ、ツイッターを見ていると、これ本当?と思う情報も結構多い。



概要としては、


①常に検証屋であり続ける人はいない。
誰もがデマかどうかを見抜く検証屋になる可能性もあるし、デマに惑わされる人になる可能性もある。検証屋というのは特定の分野に関しては能力を発揮できたとしても、それ以外に関しては素人だから、とのこと。
例えば、政治分野は得意だが、科学分野は苦手だったり。特定の分野はデマだと見抜けても、他の分野はデマと見抜けないことがある。






②専門家でも、焦るし、不安にもなるし、間違える。

引用
放射性物質に関する情報を丁寧にツイートしていた東大病院放射線治療チームが一度、「水を煮沸することで放射性物質が取り除ける」とツイートしました。しかしその後、その結果が誤りであり、煮沸するとむしろ濃度が濃くなると訂正。つまり最初の情報は誤りということになったわけです。 その誤りをもって、「放射性治療チームも信用できない」といった反応を示す人もいました。しかし、むしろ、過ちを認めないようなそうした態度こそ危険です。というのもそれは、「絶対に間違えない人を求め、その人の情報ばかりを鵜呑みにする」ということの裏返しだからです。問題は、その信頼度や正確さ、そして誤った情報を訂正するときの姿勢です。人は必ず間違いをするのですから、むしろ「絶対に間違いを認めない人」のほうがより危険です。


これはかなり衝撃的でした。つまり、専門家でも間違える可能性があるということ。
でもここで述べられている通り、きちんと訂正されている点ではむしろ信頼がおけますね。


とはいえ、ソースがしっかりしているところ、例えば国や厚労省、各自治体などからの通知なら、エビデンスを慎重に確認した上で、通知は行っていることと思います。
ただ、エビデンスがあるかどうか、確実な情報かどうかを確認するため、どうしてもスピードが速くとはいかないところはありますが。




③助けたい、力になりたいという気持ちだけでは逆効果になることもある
→中途半端な知識で情報を拡散することは、阪神淡路大震災のときに自分用の食糧を持たずに現地入りしてしまったボランティアと似ている。ただ不安を煽るだけの情報、間違った情報を拡散してしまうことで正しい情報が必要な人に届かなくなる危険がある。




流言ワクチンを接種する
ある程度、流言やデマには共通項があるため、どんな流言やデマか過去にあったと知っていることで惑わされにくくなるとのことです。

引用
歴史に学ぶということ、具体的には、「擬似的に騙されるという追体験をする」ことの重要さです。つまり、過去の流言やデマの事例を知っておく。流言やデマについて記した書籍を数多く読めば、時代や国が変わっても、流言やデマのパターンというのは、実はあまり変わっていないことがわかります。基本的なパターンを知っておくことで、「あれ? これは以前、流言やデマの事例で似たようなことがあったような」という既視感を抱きやすくしておくことは、かなりの程度、有効なのではないかと考えています。

以上を踏まえて、今の私達にできること、


①どんなに信頼できる人からの情報だとしても、頭から信じ込まない


②無闇やたらに情報を拡散しない


③拡散するなら、その前にソースを確認する


④過去にどんなデマがあったのかを調べてみる

まとめてみると、何だそんなこと?って感じなのですが、これは意外と難しいと思います。


特に、誰か困ってる人がいる状況で、何もできない自分がいる、でももしかしたら手助けできるかもしれない、と思えたとき。
しかも、困ってる誰かを助けるのに、自分のかける労力はごくわずかで済むとき。
例えばツイッターのRTリツイートボタンをタップするだけ。それだけで、誰かの命や飢えを助けられるなら、
情報の成否を深く考えず、条件反射的に情報を拡散してしまうのではないでしょうか。


今回の新型コロナウイルスについては、深刻さに地域差はあるものの、世界的な流行なので、東日本大震災とはちょっと状況が違う部分もあるかとは思いますけどね。




そしてこの記事を書いていて、これは、今のように社会が混乱しているときだけじゃなく、普段から情報を取捨選択する際に心がけた方がいいことだと改めて思いました。


私の場合、ネットやテレビのニュースは比較的懐疑的に見れていたのですが、書籍に関してはついつい鵜呑みにしてしまう部分がありました。


もうこれは、習慣というか、反応に近いものな気がします。


昨年は100冊ほどの本を読めたのですが、その100冊から共通して学んだことは、
どんなに名著と呼ばれている本でも、どんなベストセラーでも、例えその本に書かれている内容が99.9%が正しい情報だとしても、
間違った情報があったり、もしくは万人に当てはまるわけではない、少なくとも自分には当てはまらない情報は存在しうる
ということでした。


考えてみれば、書籍、本というのは、自分をよく知っている相手からではなく、不特定多数に向けて投げかけられた言葉なんですよね。
人によって個性は千差万別なのですから、例えば8割の人には当てはまるけど、残りの2割には当てはまらないということは十分考えられると思います。
そして、例え世間の8割にしか当てはまらない情報だとしても、大多数の人に受け入れられる内容で、その8割の人にとっては有益な内容なので、ベストセラーになる、ということは当然あり得るんですよね。




例えばですが、


思考の整理学

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)

この本の中に、朝飯前、とは、朝食の時間が一番集中できて良い、という内容がありましたが、これは朝型の人間の話です。
人によって適した睡眠リズムは異なりますし、夜のほうが集中できるタイプもいます。
でも、朝型、普通型、夜型では、圧倒的に夜型以外の人間が多く、結果的に、大抵の人にとってはこの情報は正しいことになります。


もちろん、こちらの本はすごく良い内容の本で、昨今出ている大抵の啓発書やビジネス書の元ネタになっている本だと思います。
こんな昔から、ここまで今の時代の流れを見抜いていた、著者の慧眼に驚くばかりでした。


ただ、そんな素晴らしい本でも、必ずしも、自分に当てはまらない可能性のある内容が絶対にゆるがない真実であるかのように書かれている、ということがそれ以上に衝撃でした。




また、こちらの本。

私の尊敬する勝間和代さんがお勧めしてらっしゃる本です。
この本と同時に勧められている、「運の良い人の法則」はすごく良い本だと感じました。

ただ、同著者の睡眠の本は…
興味深い内容もあったものの、やはり専門は心理学であって、睡眠が専門ではない方が書かれたのだな、と思いました。

当然のように、人の睡眠サイクルは90分周期と述べられていました。
実際は90分という数値はヒトの睡眠の周期の平均値であって、人によって例えば100分の人もいれば80分の人もいますし、たしかその日によっても違ったはずです。


これは、私が大学院で、病院で睡眠外来をやっていたり、睡眠の研究をしている方から講義された内容なので間違いないはずです。






ちなみに、のだめカンタービレの漫画でも、「俺は風邪を引かないために90分周期で睡眠をとっている」といったようなセリフが出てきていますが、

まあそれは、個人的にはあくまで話のネタなので、良いのかなと思います。のだめはクラシックの漫画で、睡眠の専門書、睡眠を改善するために描かれた漫画ではないですからね笑




例が睡眠の話題ばかりになってしまいましたが、
ちょっとだけ、この分野に自分が詳しいので気づけただけで、
多分、自分の詳しくない分野については、見落としているミスや間違い、勘違いは、もっともっとあるんだろうなと思います。








流言、デマの可能性が高い情報の見分け方

本によると、いくつかのNGワードが含まれていたら、いったんその情報は流言の可能性あり、と保留にし、キーワード検索をかけてみるなどエビデンスやソースを確認するのがオススメだそうです。



①自分はほにゃららの関係者である、関係者からの情報である、インサイダーからの密告である、等とソースが明確でないが、関係者であることを匂わせたような文章。


拡散希望、みんなに教えて、とついている文章


③メディアは報じていない、マスゴミが報じていない等とついている文章



どんな情報でも、正しいとは限らないので、鵜呑みにしないことが大切ですね。




また、東日本大震災の際はソース(情報源)が大事でしたが、
今回の場合はソースだけでなく、エビデンス(根拠)も大事にしたほうがいいと思います。


例えば、関東では茨城県だけが、陽生の感染者がいなかった時期があったことから、納豆が品薄になっていたこともあったようです。(この納豆が品薄になっていたというのも自分の目で確認したわけではなく、ツイッターでそのようなつぶやきを見ただけなので、本当のことか分かりませんが…)


これは、研究では裏づけられていない情報、というのはまあ大抵の方ならわかるとは思います。




たださらに、茨城県=納豆、というイメージが先行しているからだと思うのですが、よくよく調べると納豆の消費量の全国一位は茨城県でない年の方が多いんですよね。


その情報を知っていれば、もう間違いなくエビデンス不足の情報だなと分かります。




とはいえ、納豆の健康効果は認められているところですから、コロナウイルスに効くかは置いておいて、普通に健康には良いと思いますけどね(笑)





以前書いたコロナ関連の記事について


この本を読み、ニュース記事やプレスリリース、科学論文を参考にしただけの記事を、一応ソースを確認しているとはいえ、そのソースが間違っているか判断できるほどの専門性のない自分が書かないほうがよかったのかもしれない、と思いました。


とはいえ、これは!と思う情報があれば、拡散したくなるのが人間の性。
私は、芸能人みたいに影響力があるわけではないので、仮に間違った情報を出してしまっていたとしても、影響はそこまで大きくないはず…?とも同時に思いました。
上記でも書きましたが、本当に正しい情報だけを伝えられる人なんて、そもそも存在しないのだし、本当に正しいことだけを伝えようとしていたら、何も言えなくなってしまう、とも思いました。
この本を読んでブログやSNSで情報を発信する意味について、色々と考えさせられました。


これまでも気を遣ってきたつもりですが、これからも、正しそうな情報か確認し、ソースを示した上で、ブログをUPしていこうと思います。




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ここまでお読み下さりありがとうございました。